Leave it to you!

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「あっ、タクヤさん……!?」 「……なんですか?」 「いや、あの……こ、こんにちは」 「……こんにちは?」 戸惑った挙句の奇妙な挨拶に、タクヤは怪訝な顔をしつつも同じように返す。 「先生、何でそんなにテンパっているんです?」 「えっ、いや、だって……」 慧は視線を彷徨わせると、聞こえるか聞こえないかぐらいの声でぽそりと呟いた。 「タクヤさんが切ってくれるとは、思っていなかったので……」 「……嫌でしたか」 「まさか!!」 慧の大きな声に、後ろを通りかかったスタッフの一人がぎょっとして振り返る。タクヤにも軽く背中を小突かれ、慧は肩を竦めて「すみません」と呟いた。 「っていうか……そもそも先生がんじゃないですか」 「えっ……?」 じとりと慧を睨み付けるタクヤ。 心当たりも無く、ただポカンとする慧だったが。 「だから、この前に会ったとき、ですよ!」 「…………あ、」 タクヤが言っていることにようやく思い当たる。 今から二週間ほど前の日曜日のことだった。 その日も、いつものようにどこかで飲んで帰る予定だった。だが、仕事上がりのタクヤがいつもよりも疲れているような気がして、慧の家でのんびりとくつろぐことにした……のだが。 「せんせい……」 思った以上に酒を過ごしてしまったなと、ぼんやりとする頭でベッドを整えに立ち上がろうとした慧の太腿を、タクヤの手が押さえつける。 「あ、あの、タクヤさん……?」 進路を塞ぐように覆い被さる彼は自分以上に赤い顔をしていて、その目は完全に据わっている。 それなのに、その熱い手はすす……と明確な意思を持って付け根の方へと移動していく。 「えっ、ちょっと、……っ!」 抵抗らしい抵抗も出来ないまま、彼のその左手は若干膨らみ始めたそこをひと撫ですると、今度は器用にジーンズの釦を外し、ファスナーを殊更ゆっくりと下ろし始めた。 「タクヤさん、駄目です、これ以上は……っ」 もう寝ましょう、と続けようとしたその唇を、タクヤは自らのそれで塞ぎ。 「ね、先生……」 首元に絡まる、タクヤの右腕。 「一回だけ……いいでしょ?」 ね、と駄目押しのキス。 そうやって強請れば慧が拒めないのを、彼はよく知っているのだった。
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