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自宅と喫茶店
和恵と理恵は気がつくと自宅に入っていた。
「お母さんこれって……」
和恵はいつも閉まっている扉を見た。箪笥の上に
箪笥の色と同じ扉
「そう言えば……この扉はお父さんの会社の書類が入っているから開けてはいけない。
そう尊さんは言っていた。開けてみましょう」
和恵は箪笥の上の箪笥と同じ色のとびらを開けた。
「これは仏壇。私達にわからないように扉だけ
お父さんは箪笥のように変えたのね。
理恵、やっぱり私達もう……亡くなっていたんだよ。二年前の……2020年5月10日に…遺影もあるわ」
「本当だねお母さん。私は小学校三年の5月に
喫茶店夢の帰り道にお父さんの運転してた車に
突然横から別の車が突っ込んで来たんだったね。
毎日お父さんとお母さんと話していたから忘れて
いたんだね」
「箪笥の中も見てみましょう」
「やっぱり学校からの手紙が古いわ。日付を塗り
つぶしてあるのはきっと……私達が亡くなった事を認めたくない為だったんだね。アルバムも小学校
三年までのものしかない」
「お父さん~私達に側にいてほしかったんだよ」
「そうね。そろそろ私達も成仏しないとならないわね。あの人が49日過ぎるまでに~行きましょう理恵あの人が待っている喫茶店に」
「そうね。行こうお母さん」
二人がそんな話をしていた頃、喫茶店では
「まだ、理恵も和恵も来ないのか~49日なんてすぐにたってしまう。早く成仏させないと。
あの世で僕達はしなければいけない事がある……。ここにいる常連さん達と一緒にしなければいけない指名を託されているんだ。霊能者様早く理恵と和恵を呼んで来てくれ」
霊能者は言った。
「大丈夫です。もうすぐ来ます。今向かっています」
その時、理恵と和恵は喫茶店に来た。
「お父さん……ごめんなさい早く死んでしまって」
「お父さん私達も行きます。ここにいる常連さん達と一緒に……すぐにでも……お父さん今まで一人にしてごめんなさい。霊能者様私達家族を成仏させてください」
その時、尊は言った。
「成仏する前に話しておきたい事があるんだ。
私達とここの常連さん珈琲を入れてくれるマスターは不意の事故でみんな死んでしまった。
残されたのはここの経営者のお婆様だけになって
しまった。この喫茶店をまだまだ居心地のいい
喫茶店として経営してもらう為、お婆さんにはもっともっと長生きをしてもらわなければならない。
お婆さんの孫がこの喫茶店を継ぐまでは……。
その為に僕はあの世で契約を結んだんだ。
その契約はあの世で……」
尊は言ったゆっくりと理恵と和恵に話をした……。
そう……ゆっくりと……
「あの世で僕達と常連さんマスターは死神になると言う契約を……そうしないと君達とずっと一緒にいられない」
理恵も和恵も
「死神❓️そんなの嫌❗人をあの世に導くなんて
出来ない❗無理」
「じゃあ俺とみんなと一緒にいられなくてもいいのか?別々に生まれ変わってしまうかも?知れないんだぞ❗出会えないんだぞ俺はこの喫茶店と経営者を守る為にあの世で約束したんだ」
和恵は言った……
「霊能者様私と理恵を成仏させてください。
尊さんと常連さんとは別々に……」
理恵も言った
「私もお父さんと常連さんとは別々に成仏させてください。お父さんごめんなさい。私、死神には
なりたくないの……お父さんいつも言ってたよね?人には優しくしなさいって、自分の事のように大切にしなさいってお父さんのように優しい人になりたいっていつも思っていたの……ごめんなさい」
霊能者は理恵と和恵に聞いた。
「本当に別々でいいんですね?」
二人は「はい」と答えた。
「ではお二人から先に成仏させましょう」
霊能者が浄霊を始めると理恵と和恵の身体は徐々に
薄くなっていった。
「ごめんなさいお父さん」
その言葉を最後に和恵と理恵は消えていった……。
その後再び霊能者に浄霊をされた喫茶店のマスターや常連の人達は真っ黒い影とともに消えていった……。
一人残された喫茶店の経営者のお婆さんは
泣きながら……
「さようなら……居心地のいい喫茶店として毎日
経営していきます。さようなら……」
そう呟いた……。
そして霊能者は言った。
「これで私の役目も終わったわ。この世で最後の
役目……私もあの世に行きますね」
喫茶店に一人残された経営者の老婦人は言った。
「ありがとうございました。成仏する前に成仏させる仕事までさせてしまって……」
「いいんですよ。あなたが私を呼んだんですから」
そう、大型ショッピングセンターの火災で霊能者
「磯島麗美」も亡くなった一人だった。
私は喫茶店の経営者としてここを孫と一緒に盛り立てていかなければならない。
毎日居心地のいい喫茶店としてだから浄霊をして
くれる霊能者を探していた。
まだ死んだ事に気がついていない主人の為にも、
常連さん達の為にも……そんな時に現れたのが
霊能者「磯島麗美」さんだった……。
最初は驚いたが幽霊でも何でも浄霊してくれるなら
そう思って私は「磯島麗美」さんに浄霊を頼んだ。
「磯島麗美」さんは快く引き受けてくれた。
最後の仕事だと言って……。
これでみんな成仏してくれる。
一人残された経営者は泣きながら拝んでいた。
完
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