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自宅
和恵と理恵は自宅に帰った。
「お父さんまだ仕事なのかしら?」
「お母さんお父さん仕事で忙しいんだよきっと~」
「そうね。理恵、ここ掃除するから子供部屋で
今のうち宿題してしまいなさい」
和恵に言われて理恵は
「は~い」そう言ってしぶしぶ二階の子供部屋の
机で宿題をやる事にした。
「宿題めんどいな~勉強なんてしたくなーい」
そう心の中で叫びながら宿題をやっていた。
和恵は珍しく掃除機をかけている。家の掃除は人に頼んでいるから掃除機はめったに和恵がかけることはなかった。
「お母さんお父さんが日曜日に仕事だから寂しいのかしら?」
理恵は少し母親の事が心配だった。
和恵はいつもならモーニングの後、ショッピング
モールに行って家族で買い物をして家に帰ると
お父さんと動画を一緒にみたり時間があれば散歩をして過ごしていた。
ところがその日父尊は、夕飯の時間になっても帰って来ることはなかった。
「全く何してるのかしら?連絡もよこさないで❗飲みにでも行ったのかしら❗」
和恵は夕食の支度をしても連絡がない尊の事を怒っていた❗
「じゃあ理恵先にいただきましょう」
和恵と理恵は冷凍食品のチャーハンに目玉焼き二つをのせた夕食を食べた。
「美味しかった。じゃあ私、お風呂に入ってくるね」
「わかったわ。じゃあお母さんはお父さんの夕飯もラップ掛けて冷蔵庫にしまっておくわ。
それにしてもお父さんどうして帰って来ないのか
しら?まさか浮気❓️そんなはずないわよね」
さすがに和恵は心配になっていた。
その日、二人が就寝しても、尊が帰って来る事はなかった。
次の日もその次の日も尊は二度と一条家に姿を見せる事はなかった……。
不吉な予感が和恵と理恵の脳裏に浮かんだ
「もしかしたら?事故かもしれない。警察に失踪届けを出しましょう」
そう思った時。宅配業者から
「お届け物です。一条尊様からのお荷物です」
それは、一条尊からの結婚記念日の花束と手紙だった。
「今日は結婚記念日だから和恵を驚かそうと思って仕事だと嘘をついて早めに家を出てショッピング
モールの一階の花屋で花束を結婚記念日の日に
着くように注文したんだ。
いつも、僕や理恵を大切にしてくれて温かい家庭をつくってくれてありがとう。
君と結婚できて僕は嬉しいよ。
君と結婚して本当によかった。
悪いけど帰りに夢で一足先にモーニング一人で
食べたよ。やっぱり夢の珈琲は最高だね」
そう書いてあった。
「あの日、夢は休みだったはず?早い時間は営業していたのだろうか?電車の故障の時は営業していた?」和恵も理恵も疑問が残った。
この花束を注文した場所は大型ショッピングモールに入っているテナントの花屋さんからで注文日は
大型ショッピングモールの火災の日だった。
「もしかしてお父さんは火災に巻き込まれたのかも?亡くなった人もいるって聞いたし、花屋さん
だけじゃなく他の階もショッピングモールで買い物をしたとしたら?
理恵~あのショッピングモール一階から二階は何とか大丈夫だったわよね?花屋さんは一階だった。
もしかしたら?お父さんは……。理恵はとにかく
学校に行って~私、警察に行って焼死体の事を聞いてくるから」
和恵は理恵も行くと言ったがそれを振り切って
一人で警察に向かった。
二人は行きつけの喫茶店の事も気がかりだった。
「早いうちは営業していたのに~やっぱり何か?
あったんだ」
和恵は急いで警察に向かった。
この時、和恵と理恵はまだ本当の隠された事実に
気がつかなかった。
本当の真実と恐怖はこれから始まるという事を……。
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