安道くんはマイペース

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~安道Said~  俺が現場に入らないことなんてよくあることだ。  自分でも、時間にルーズなところがあるなぁと思っていても直そうと思わなかったし、こんな俺でも探しに来てくれたスタッフさんたちは大体、許してくれる。  だから、理恵さんみたいに俺のことを叱ってくれるスタッフさんがいることに驚いたし、内心は嬉しかった。  あぁ、この人はちゃんと俺を”人”として見てくれる。  ”安道 千草”を人間にしてくれるんだと思うと、嬉しくて堪らなかった。  正直、日本に帰ってきた時は、この国に何の期待もしていなかったけど、理恵さんや他のスタッフさんたちの姿を見ると、まだまだ捨てたもんじゃないんだなぁと思って嬉しくなった。  彼女や彼らは、俺がこんな風に思っていることを多分知らないだろう。  それでもいい。  まだ、俺で稼げるというのならいくらだって稼ぎ頭になってやろうと思った。  ところで、俺が理恵さんを気に入ったのは、俺に対しての態度もそうだけど、CM撮影をちゃんと終わらせた俺の為に、わざわざタクシーを使って最寄り駅まで行って、俺の食べたかった『BIKカツ』を買ってきてくれたことが大きい。  うん、やっぱり日本の駄菓子は最高。マジで美味いんだよ、これ。
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