ホワイトムスクの雪

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私はコンビニに入り、上杉さんの肩を叩いた。 「何処に行ってたんですか…」 私は息を切らしながら上杉さんに訊いた。 「あ、先生…」 上杉さんは私の髪や肩に積もる雪を払った。 「どうしたんですが、風邪ひいちゃいますよ」 私は、肩で息をしながら、上杉さんを連れて店の外に出る。 「探したんですよ。あまりに帰りが遅いもんですから…」 私は白い息を吐きながら上杉さんに言う。 「すみません。土地勘が無いモノで、迷ってしまって…」 コンビニの外に置いてあった傘立てから傘を取り、私の上にその傘を広げた。 「帰ったら鍵が掛かっていて、中に入れなかったモノで…」 そうだった。 このコンビニまで行くつもりで鍵を掛けて出てしまっていた。
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