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「今なら電車で帰れますね…」
上杉さんは、
「電車だと駅から結構歩くんですよね…。タクシーが居れば良いですけど」
そう言ってデキャンタからコーヒーをカップに注いだ。
「雪、止みますかね…」
私は、テーブルの上のタバコの箱を取り、一本咥えた。
「どうでしょうね…。テレビでは明日迄降るって言ってますね…。十年に一度の大寒波って言ってますし」
大雪で街が麻痺するとか、台風で停電するとか、そんな緊急事態になると私は何故か胸が躍るタイプで、困り果てている上杉さんには悪いが、ワクワクしている。
「最悪、泊って行けば良いんですよ」
私は何気なくそう言うとタバコに火をつけ、煙を吐いた。
ふと視線を上杉さんに戻すと、完全に疑いの眼差しで私を見ていた。
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