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「確かに言えてますね。上杉さんは御殿場生まれだと雪には慣れてますよね」
「ええ、でも言う程積もったりはしないんですよね。まあ、東京よりは雪には慣れてますけど」
私は頷き、箱からクッキーを一枚取り口に入れた。
テレビから電車が幾つか停まっているとのニュースが流れた。
「停まっちゃったみたいですね…」
「はい…」
上杉さんは呆然とそのニュースを見ている。
私は立ち上がり、リビングの窓から外を見た。
上杉さんの赤いアウディにも分厚い雪が載っていた。
気が付くと上杉さんも私の横に立ち、外を眺めている。
「白い雪に覆われると、いつもと違う街に見えますね…」
上杉さんは静かに言う。
確かに。
見慣れた風景ではない気がする。
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