ホワイトムスクの雪

9/28
前へ
/28ページ
次へ
どのくらい原稿を書いていただろうか、気が付くと窓の外は薄暗くなり始めていた。 そして雪は一向に弱まらず、更に周囲を白の世界にしていた。 そう言えば、上杉さんはいつ帰ったのだろう…。 私は書斎を出てリビングを見た。 ソファに上杉さんの姿は無い。 あれ…。 客間かな…。 私は客間のドアをノックしたが、反応が無い。 そっとドアを開けると客間にもいなかった。 慌てて玄関を見ると上杉さんの靴は無く、まだ帰っていない様子だった。 私は上杉さんの電話を鳴らした。 するとそのコールはリビングから聞こえて来る。 リビングへ行くと、パソコンから充電している様だった。 窓の外を見ると、さっきよりも雪は強くなっていて、正に吹雪の様に辺りに降り積もっていた。 もう、あれから二時間近くは経っている。 コンビニまでなら往復してもせいぜい三十分程度だろう。 私は上着を来て、外に出た。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加