ホワイトムスクの雪

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さっきから担当編集者の上杉さんは窓の外を何度も見て、困った表情でダイニングテーブルに戻って来る。 それもその筈で、窓の外は大雪、一時間程で窓の外を真っ白な世界に変えてしまった。 「来る時は降ってなかったのに…」 上杉さんは私の向かいに座ると、マグカップを両手で持って飲んでいる。 「まあ、降りそうな気配はありましたけどね…」 私も窓の外を見て、しんしんと降り積もる雪を見た。 確かに東京で此処まで雪が積もるのは珍しく、外に出て雪合戦でもしたい気分だった。 しないけど。 ダイニングに置いた二十四型の小型のテレビは徐々に麻痺していく東京の交通網を知らせていた。
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