②部活終わりに教室で

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②部活終わりに教室で

僕は少しずつ階段を登る。 俺は声が掠れ、成長痛が起こり、 様々な性徴を迎えた。 一つ上の段階の義務教育。 俺だけじゃなく、 周りの環境や匂いが変化し、 気付きが起こる。 男と女の関係性。 先輩後輩の関係性。 親と子の関係性。 身体的なものに比例し、 気付きはどんどん増えていく。 俺は未だ色白で華奢。 理想の俺に近づくべく、 体育会系の部活に励む。 一向に理想に近づかない俺に比べ、 僕は理解し始めていた。 あの時、怖かった事も、 機能も、仕組みも。 いつしか僕は、俺が望む理想を、 相手に求めるようになっていた。 部活のペアを組んだユウイチ。 僕に気付きを与えてくれた、 俺に葛藤を与えてくれた、 最初の人。 健康的な細身、 スキンシップがちょっと多い、 おしゃべりな奴。 俺とは正反対だった。 ユウイチとのストレッチや、 他愛もないじゃれあいでさえも、 僕は内心ドキドキしていた。 俺からは決して踏み出せない、 間違いが起きてくれないか、 タイミングをはかっていた。 夏休み中の部活終わり、 誰もいない教室で2人は着替える。 まじまじとユウイチの体を見るのは、 初めてだった。 出来るだけ見ないように、 最初はしてた。 褐色の肌に、汗が浮き、 絶妙な光沢を放つ胸元。 お互いに汗を拭き合い、 クールダウンのストレッチをしていると、 「なぁ、毎日やってるか?」 「ん?」 「あれだよ!」 ユウイチは手で扱く動作をする。 「ま、まぁな」 「どうやってやってる?」 「こうやってさ」 俺は身振りで答えた。 「気持ちいいか?」 「そりゃそうだろ」 「アレは自分でやるより、もっと気持ちいいらしいぜ」 「そうだろうな」 素気なく、無関心を装った。 背を向けていた俺に、 ユウイチは後ろから抱きついた。 首筋に唇を押し当てた後、 耳元でこう言った。 「気持ち良くなりたくないか?」 「……」 「俺がいつもやってるやり方、教えてやる」 「みんな同じだろ?」 僕は必死で抑えていた。 「違うよ」 ユウイチは、学校指定着越しの、 俺の形に合わせて優しくなぞってきた。 既に形がクッキリとわかるほど、 俺は抑えが効かない。 声も出せずにいると、 おもむろに、上下運動が始まる。 力の入れ方、動かし方、 別世界だった。 思わず漏れそうになる声を堪え、 俺は机に両手をついて、 ユウイチに身を委ねた。 あっという間に、 俺はユウイチの手の中で、 初めてを迎えた。 膝が震えて、立っているのがやっとの俺に、 「ずるいぞ!俺も!」 導かれるままに、 俺のやり方で、挑む。 ユウイチもあっという間。 「やっぱ全然違うな」 「だな」 いつもの2人に戻っていた。 それから、僕は何故なのか考えた。 多感な時期の過ち? それとも僕と同じ感覚なの? それ以上の事は、 俺もユウイチもまだ知らなかった。 僕の夢もまだその程度だった頃の話。
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