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④こたえあわせ
学祭が終わり、
いつもの生活が続く。
僕は、ケンタさんとの出来事を、
忘れられずに過ごす。
その先には、何があるんだろう?
どうすればいい?
手探りで答えを探す日々。
でも、以外に早く答え合わせはやってきた。
晩秋の部活終わり。
俺は1人トイレに入った。
教室群から離れた、
あまり使われていない所を選んだ。
何気なく、用を足していると、
何故かケンタさんが入ってきた。
「お疲れ様です!」
「おぅ!少しは上達したか?」
ケンタさんは俺の横で用を足す。
「はい!先輩とも少しは勝負できるかと!」
「そうか!もっと鍛えないとダメだぞ!春には先輩になるんだしな」
「はい!」
僕は、ケンタさんとのこの時間を、
どうにか引き伸ばせないか考えていた。
あの時、出せなかった答え。
逃せば、永遠に見つからないと、
思ったからだ。
「先輩……こないだはすみませんでした」
「ん?……もう少しのとこ……だったよな」
「俺、よくわからなくて…」
「まぁ、そうだよな……でも、好きだろ?」
「はい、好きです」
「何が好きなの?ちゃんと言ってみな」
僕は、もう迷わない。
「先輩の裸です!いい匂いがするし……」
「だろ?なあ、裸って上のことか?」
「下のことはよくわからなかったから」
「だと思った。あの時も下には興味なさげだったもんな。待ってたのになぁ」
「今は下も好きです!笑」
なんか変な返答だった。
ケンタさんは、あのニヤけた笑顔を、
いっぱいにたたえて俺を見る。
「見たいか?」
「……はい」
「触りたい?」
「……はい」
「それから?」
「……」
僕はわかっていたが、
俺は言葉にできず、困っていると、
ケンタさんは、黙って俺の手を取った。
トイレを出て、
一段と早くなった薄暮の廊下を、
ケンタさんの大きな手に引かれ、
校舎端の用具室へ向かう間、
俺は、はち切れんばかりに、
体中の血流が、俺の一部に、
集中する様を、初めて知った。
ケンタさんは、部屋に入るなり、
俺を抱きしめた。
俺は自然と胸板に顔を埋め、
痛いほど、ケンタさんに包まれた。
そして、唇を奪われた。
なすがままだった。
それでよかった。
最中に、何を言われたか、何を話したか、
記憶はぶっ飛んでいる。
鮮明なのは、
あの日と同じ、
ケンタさんの匂いに浸っていた事だけ。
胸板から腹筋、
そして、こたえあわせの場所へ。
俺は愛玩を求める子犬のように、
夢中で、ケンタさんに尽くしたに違いない。
何の抵抗もなく、希望を受け入れて。
同時に僕も、
蕾からいよいよ花を咲かせられる、
喜びに満ちていた。
体温よりも熱い、ケンタさんの証から、
肌の匂いとも違う、
青臭さに塗れた後、
俺も頂点を迎える悦びを、
教えてもらった。
僕は開花の時を控え、
膨らみを拡大させていく。
一方、俺は、
俺に浸潤し続けてくる僕がまだ、
少し怖かった。
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