降り積もる恋花。

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 学校鞄に入ってるカッターナイフを使わなくて良かった。使ってたら、桜吹雪が汚れてしまう。  首を締めて殺さなくて良かった。締めてたら、せっかくの先輩の綺麗な顔が醜く歪んでしまう。  先輩の瞼を閉じさせて、一番大きな桜の木の下に連れて行った。  僕はそこに座って、先輩に膝枕をしてあげた。  桜並木の桜はどれもこれも満開で、そして吹雪いてた。皆が風に揺られて、花弁を降らせていた。  その花弁は、僕や先輩に降り積もった。このまま花弁の山に埋もれてしまおうかと思った。  でも積もる前に、僕と先輩は見つかって、警察に行く羽目になった。あーあ、あとちょっとで先輩の全身に花弁が降り積もるところだったのに。  そしたらスゴく綺麗だったよなぁ。先輩から桜の木が生えてたかもしれないなぁ。
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