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エピソード1
急な出来事だった。
眩しい青色の光に包まれたと思ったら、霧が深い世
界にぽつんと立っており、いくら目を凝らしても、こ
こがどこだか分らなかった。
かろうじて見えたものは、目の前に、崩れていた得体のしれない物体だけだった。それは、例えるなら、色鉛筆で紙にぐしゃっと描いたマルやサンカクやシカクが浮き出てきたようなものだった。
「こんにちは、仲良くしてね。」
その物体は、ひゅんひゅんと音を立てながら、積み木のように組立っていき、1つの下手くそな人形らしきものになった。
わたしは、何が起こったかわからないまま、それでも、これと一緒にいることにした。
「うん、こちらこそよろしくね。」
そうでなければ元の世界に戻れないと思ったのだ。
その物体は、ピナといい、自分のことをこの世界の案内人だと紹介してきた。
「ねえ。ピナ、いくつか聞いてもいい?」
「うん、ピナに任せて。」
隣を歩くピナはグルグル巻きの目をくりくりとさせてこちらを向いた。
「まず、、この世界は一体なんなの?」
「ふふっ、それはピナにもわからないや。」
ピナはいたずらっぽく笑って答えた。
「それなら、、わたしたちは今どこに向かっているの?」
「とっておきの場所さ、君にとってね。」
「それはどこ?」
「ふふっ、すぐにわかるよ。」
ピナはまたいたずらっぽく笑って答えた。
「困るわ、それじゃあわたしはこの世界のことについて何もわからないじゃない。」
「大丈夫さ、ピナが隣にいるから。」
「なぜそう言い切れるの?」
「ピナがこの世界の案内人だからさ。」
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