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このバイトを始めて1年ほど経ったある夜、今でも忘れられないひと組のカップルが来た。
今夜は仏滅だから、さすがに誰も来ないだろうと一緒に夜勤をしている奴と話していたところに、そのカップルは現れた。
外から守衛室の窓をノックする音がして、俺は窓のカーテンを開けた。
「あの〜、婚姻届を持って来たんですがいいでしょうか?」カップルだった。2人ともジーンズに上はダウンのようなものを着ていた。
万一の為に一旦、人を見てから中の待合室に入れる決まりだった。
「あっ、はい、では今開けますので中にお入りください」
もう、時刻は23時半を過ぎようとしていたから、俺はちょっと引き気味になっていたと思う。
男性の方が婚姻届をそっと出した。
女性はその後ろでまっすぐそれを見つめている。
俺は一応、確認する。
「あの、もうすぐ明日になりますが今ですと、仏滅の今日になりますが大丈夫ですか?それとも、少しお待ちになって日付けが変わって大安になってからになさいますか?」
ふたりは何と言うだろう?もちろん大安で!と言うよな。
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