似ている二人

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 それから、男と少女は共に暮らし始めたのでした。  少女は、日常生活は送れるが、それ以外の記憶がないらしい。だから、自分でも自分がわからないのだという。口数は少なく、表情や感情も乏しい。不思議な子だ。  男の人は、殺し屋を生業にしていました。だから、夜に仕事に行くことが多いのだと気が付きました。口数は少なく、表情も感情もわかりづらいです。不思議な人だと思いました。  ある夜、俺の話になった。死にたいのかと、聞いてきた。  死にたいと、男の人は言いました。望まない才能に恵まれている、毎夜死のうとしている、でも死ねない、指が動かない。そう、言いました。  私が殺してあげようか、私ならできると思うと、提案を受けた。俺は、少し驚いたが、静かに否定した。  理由は三つ、自分の意志で死にたい、誰にも自分が死ぬ瞬間を見られたくない、私に自分のような人間になってほしくない。そう、言いました。おもしろいと思いました。  少女は素直に頷いた。そして、自分の死に方の条件を決めたいと言い出し、一日考えた結果、こう言った。一人で死にたくない、と。
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