スムース・ハンド・ラップアップ

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 スムース・ハンドフィッシュの容器を抱えたまま、BIOは博士の研究所のある宇宙ステーションへ飛び立った。データをとったらまた、地球へ還すそうだ。実はBIOの観測によると、他にも数体のスムース・ハンドフィッシュらしき生物の情報が確認できたとのことだ。  宇宙から眺めるのと、地球上で眺めるのとでは、同じ朝日でもやっぱり違うな。僕はやっぱり、地球で見るあの朝日が好きだ。あかの落ちた手を太陽に向けて、正確には地球上の水平線に昇る太陽に向けて、太陽をつかんでみる仕草をした。太陽は捕まらなかったけれど、地球の大きな手が、僕をすっぽり包んでくれたみたいに思えた。  スムース・ハンドフィッシュだけでなく、その他の絶滅危惧種や絶滅したとされる生物が少しずつ数を増やしている。そして新種も毎日のように発見されているらしい。僕は、これからセイコ博士の助手としてそれらの生物を探し回ることになるとのことだ。次はいつ出発になるかな。スムース・ハンドフィッシュはどこに還してあげればいいのかな。セイコ博士も手伝いに来てくれるだろうか。いずれにしてもそれは、BIOにお風呂が取り付けられる工事が完了してからの話。 おしまい
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