スムース・ハンド・ラップアップ

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 それは、無人島に隠されたお宝を見つけた喜びのようだ。たとえそれが、僕の知らないところで事前に用意されていた、“仕込み”だったとしてもね。素直にこのゲームのプレイヤーに徹していれば、いいんだ。金持ちの考えることは分からないや。こいつをいったい、どう料理するかなんて。  無人島に独り取り残されれば、なんだって食べてみたくなるものなのかもしれないが、あいつらは豪邸で悠々自適な生活をしていて、その発想が出てくるんだ。なんとも恐ろしい連中だとは思うけれど、僕も生活がかかっているからね。僕の今の生活は、無人島で暮らしている者よりも低い生活なのかもしれない。まだ理性が残っているほうだよ。決してあいつらのように、君を食べちゃおうなんてことは思わないからね。ただ、君の身体をあいつらに売れば、一生困らない生活ができるんだよ。ごめんよ。憎むんなら、あの金持ち連中の趣味の悪さを憎んでおくれよ。
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