スムース・ハンド・ラップアップ

8/10
前へ
/10ページ
次へ
「はは、完全に正義の味方ってわけだ。それじゃあ、最後に僕も捕まえなくちゃね。」 「イクトさんはワタシたちが保護します。それがワタシの使命って言いましたよね。」 「何を言っているんだい、スピィ。僕はお前が思うような生き物ではない。なんの希少価値もない、手あかまみれの貧乏人さ。手あかのついた人間は、然るべきところに行かなきゃならないだろ?」 「手アカは洗えば落ちます。それに、あなたの手アカは本当にただの手アカ。お風呂に入りましょう。」 「はは、そうだね。地球に降りてきてから風呂に入れなかったから。」 「ワタシはあなたを信じています。セイコ博士もあなたを信じているって。」 「お前たちはそうやって、すぐに口を開けば信じる、信じるって軽々しく言うけれども、今さら見ず知らずの人を信じられるほど、僕は。僕は。」    僕は、本当は何かを信じられるようになりたかったんだ。信じてみたかったんだ。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加