星見英二と奇妙な二人

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星見英二と奇妙な二人

 公園で遊ぶ子供達の喧騒とは反対に、俺はベンチで項垂れていた。  何度見ても手に握りしめた紙に書かれた文字が変わることは無い。入試直前の模試結果がD判定だった。ここしばらく伸び悩んでおりこのままでは合格は難しい。担任からも志望校の変更を仄めかせられている。 (確かに同じ学部なら他にもあるけど、子供の頃からあの大学に行くことが夢だった。だから絶対に変えたくなんてない。でもこのままじゃ…… あれ、だけど、どうしてあの大学に行きたかったんだっけ――)  考えがまとまらず迷走し始めた時だった。 「「俺達最強二人組〜盗めぬものは何もない〜」」  突然大声がして俺はビクッと顔を上げる。 「「俺達最強二人組〜警察なんかにゃ捕まらぬ〜」」  調子外れの変な歌だった。思わず声のする方へ顔を向けると、二十代くらいの男女の二人組が広場の中央で何かゴソゴソやっていた。イエローとショッキングピンクのつなぎが異彩を放っている。気づけば周囲に人は居なくなっており彼らの声がよく響いた。  男はゴテゴテした変な物体を手にしており、それを地面に置いた。 「よーし、いっくぞぉ!」  男は叫ぶと「いち、に。いち、に」と屈伸し始めた。よく見ると空気入れを勢い良く押している。  しばらくすると、彼らの足元に何かがボトッと落ちた。 「あぁ! アニキ、失敗っす!」  女が甲高い悲鳴を上げた。 「い、今のはたまたまだ。もう一回いくぞ!」  男はそう言って同じ動作を繰り返したが結果は変わらなかった。 「おかしい。俺の完璧な計画が失敗するなんて…… ハッ! これは俺達を恐れた敵の妨害に違いない!」 「今日結成したのに、もう敵が現れるなんて注目の的っす!」  やたらテンションが高い二人が落ちたものを振り回している。多分、あれはペットボトルロケットだ。 「あんなの飛ぶわけないだろ」  俺がボソリと呟くと、アニキと呼ばれた男がこちらへグルンと顔を向けた。そのまま雄叫びを上げて駆けてくる。 (あれが聞こえたのか!? 十メートルは離れてたぞ、どんだけ地獄耳なんだよ!)
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