星見英二と奇妙な二人

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「そんなもの、奪ってどうすんだよ……」  俺が脱力して言うと可哀想なものを見る目を二人から向けられて、思わず額に青筋が浮かんだ。 (このロケット、壊してやろうか)  俺が指に力を込める前にアニキがチッチッチッと指を振った。 「わかってねぇな。いいか近頃は下を向いて歩く奴が多すぎる! 下を向いて歩いてる奴なんて悲しいことがあったか、疲れてる奴だけだ。 そんな奴らに上を向かせて楽しいことがあるって思い出させるんだ! パーッと綺麗なものが降ってくるなんて最高だろ!」  アニキは大きく身振り手振りをしながら力説した。そこまでは楽しそうだった顔が一転して曇る。 「ここで景気づけに試し打ちするつもりだったんだが、紙吹雪のせいで飛ばなかったとは盲点だったぜ……」 「アニキ……」  二人は外されたパンパンに膨れた袋を見つめて項垂れている。  俺は手に持っていたペットボトルロケットに視線を戻し作業を再開させた。 「……別の方法を考えたらいいんじゃないか。まだ失敗した訳じゃない」  先程より丁寧に取り外しながら呟く。 「そうだよな! お前いいこと言うな!」 「そうっす、これはただの練習っす! やり方を変えれば飛ぶかもしれないっす!」  元気を取り戻したアニキに思いっ切りバンバンと背中を叩かれた俺は思わず咳き込んだ。それでもこれだけは言わないといけないと、息を整える。 「上手くいっても街中なんかで飛ばすなよ。誰かに当たったら怪我するだろ」  今初めて気づいた顔をする二人に俺は深いため息をついた。 
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