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「「「タッタラー!」」」
お義兄さん、中学のバレーボール部員、その他の島民、それからボスとカメラを回す昌也、皆が『ドッキリ大成功!』というフリップを持って現れた。
『せーの!』というお義兄さんの合図で皆がフリップを裏返すと『結婚おめでとう!』と書かれており声を合わせて祝ってくれた。
「数年に渡る壮大なドッキリでしょ?」
ボスが『うっふん♡︎』と粘っこいウインクをする。
「な?この島は『何もないとこ』だって言っただろ?」
お義父さんがまたニカッと笑った。鼻の奥がツンとして泣きそうになる。
「「「キース!キース!」」」
昌也が発端となりキスコールが起こり、俺達は長い長いキスをした。
後日、俺の島レポから始まった数年間のドッキリの全てが放送され、『このローカル番組がすごい!』と全国局でもネットでも取り上げられ、何の変哲もないけれど優しい人しかいない温かい島と最高のチームである俺達のテレビ局、それから小悪魔妻と陰キャ夫の俺達夫婦は全国的に有名になったのだった。
この島には何の秘密もなかった。それこそが秘密だったのだ。
───『長生きする島の秘密』 完───
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