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あれから数週間後⑤
私は、本堂に程近い和室に通された
「本日は、急にお伺いしてしまいすみません。これ、うみ先生から言付かったものです。お納めください」
「やだ、みおさん。改まらないで。ありがとうございます。仏様にお供えして頂きますね」
翠さんが頭を下げ受け取ってくれた
小坊主さんがお盆の中心を見ながらそして腕がフルフルしながら和室に入って来る
…み、見ている方が怖い
そして、涼しげなコップを持ち上げた手がこれまた震えてて
心臓に悪い
「美味しいお茶をどうぞ」
笑顔を向けられた
「小森君、出す時は粗茶ですが…じゃないの?」
翠さんがちょっとひきつりながら聞いてる
「住職!先程、副住職が『うちは粗末な物は出してない』と言っていて僕もそう思ったので…」
小鼻を膨らまして言っている
「そうかも知れないんだけど…何て言うのかな~」
翠さんが困っている
「ふふ、えっと小森さん、そう言う時『ご笑味ください』とかはどうです?漢字だと笑って味わってくださいって意味で…」
「おー!みお、お前冴えてるな」
流さんが茶菓子を持って来てくれた
「なるほどね。あまり謙そんし過ぎるのもと思うことあるんだよね、実は」
翠さんが納得したように頷く
「うちの実家の方では『ごちそうさまでした』の挨拶の返しに『お粗末様』ではなくて『お軽ございます』って言う人多いですよ。軽い食事で申し訳ありません的な意味合いで使ってます」
私の実家の話をした
「あっ、いい言葉じゃん!そうなんだよ、俺美味しくなるように作っているのに『お粗末』って言葉ちょっとイヤだったんだよね」
苦笑いしながら流さんが話してた
「お役に立てました?」
「立った!立った!!」
流さんが豪快に笑ってる
「あの~住職。そう言えばショセイって何ですか?」
小森君が小首を傾げる
「分かりやすく言うと、他所のお宅の家事を手伝いながら特定分野の下積みをするって感じかな?みおさんの住んでいる所は、東京の志生帆 海さんって先生なんだよ」
翠さんの説明分かりやすい
「えーっと…じゃあ、みおさんは今の言葉で言うと…ニート?ん?ちょっと違う?穀潰し?根無し草?」
「こーもーりーくん!」
翠さんが真っ赤になって慌ててる
「ひぃ~ブッ、小森~お前のその言葉のチョイス~」
流さんが障子に寄り掛かって涙流しながら笑ってる
「こ、小森さん…平たく言えば当たってるのでこれでご勘弁願います」
流さん私の言葉聞いて更に笑う
「あっ、わかってるんだ~」
息が吸えないって苦しがっているのに
笑うのがやめられない流さん
足蹴にしたかったが翠さんの手前とどまる根性…褒めて欲しい
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