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あれから数週間後⑥
「なあ、うみさんからのアレって何?」
流さんがいまだに引き笑いしながら聞いて来る
「ええっと…なんだったかな?」
あ!これを持って行けば流の目の色変わるかもって紙を差し出した
━丹波大納言小豆・品評会 最優秀賞受賞━
「え?中、小豆なの?」
「そうみたいです」
「流さん!?あずきなんですか!!」
小坊主の小森くんが身を乗り出す
「ああ、それも品評会で最優秀らしいぞ」
「す、凄いですぅ~流さん、あずきと対面したいです」
「よし、今日は食えないが明日食うために小森手伝うか?」
「はい!お手伝いします!」
と、袖の袂から腰紐を取り出したすき掛けをしてやる気を見せてた
「流、仏様に…」
「翠、いくら仏様でも煮ても焼いてもいないあずきじゃ可哀想だから明日炊き上がったのをお供えしよう。
あ、みお、お前昼飯食ったか?」
「いえ、まだです」
唐突に聞かれて素直に答えてしまった
「俺らもまだだから食ってけよ。軽い飯だけどな」
ニヤリ笑う流さんが無茶苦茶眩しく見えた
「あ、ありがとうございます。ご相伴にあずからせていただきます」
そしてこの和室には、麗しの翠さんと二人きり
もう、何を話してよいものか…
「みおさん、この前はごめんなさい」
翠さんが小声で言って来た
「いえ、翠さん謝らないでください。私も物書きの端くれなのに分かりづらい話し方で申し訳ありません」
二人でペコペコしてしまう
顔を見合せ笑ってしまった
「けど、みおさんは流と本当に仲良しだよね。僕、女の子とあんなにポンポンと喋る流見たこと無いかも」
「あっ…それは…」
翠さん、それは流さんから見ると私が翠さんに近寄らないように警戒レベル上げているんですよ…
う~ん、なんて言えば伝わるか悩む
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