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あれから数週間後⑨
流さん特製のお昼がテーブルに用意された
「あの~……シェフ?今日のランチはパスタなんですか?」
まさかお寺でパスタが出るとは思ってなかったのでつい聞いてしまった
「Si,certo!(シーチェルト)」
「ここは…イタリアですか…」
「Si うはは、なにパスタ嫌いだった?」
「いえ、大好きです」
「まさかと思うけど肉だの食わない精進料理食ってるって思ってた?」
「はい」
「はいそれ、勝手なイメージですから。まあ、寺の子あるあるなんだけどな」
笑いながら流さんがカリカリのガーリックパンの皿を手渡してくれた
「あの……パスタ、本場っぽいですね」
パスタの他に魚の香草パン粉焼きまで付いてる
「さあ、みおさん。流の料理の腕は抜群だから冷めないうちに召し上がって」
翠さんがすすめてくれる
「はい、では遠慮なく!いただきます!!」
まずはパスタに手を伸ばした
━旨い━
頬が上がるのが皆から見てもわかったらしい
「旨いだろ?そのトマト朝採り収穫したばかりなんだけど甘味があるだろ?」
首を縦に降る
「で、じゃがいもは素揚げしておかひじきも添えてみた。どれもこの地区で収穫された地産地消野菜だ」
「地産地消誰が作っているかわかる食べ物安心ですね」
「ちなみにその魚メバルなんだけどそれもちょっと先の漁港に上がったやつ」
「流さん…ご実家がお寺じゃなければシェフになって欲しかったです」
「あっ、僕もそう思う!!」
翠さんが楽しげに言う
「シェフか~何料理がいいかな~」
「私は、イタリアンだと思います」
「翠は?」
「僕は、流の日本料理がいいかな。優しい味がするし美味しいし…ね」
流さんに微笑みかけてた
「そっ、そっか!?日本料理の板前になります!店の名前は…流翠だな」
「僕の名前も入るの?」
「ああ、兄弟で店やるんだよ」
「それも面白そうだね」
翠さんが微笑み返した
「流さん、だめです。流さんは、あんこ屋さんになってください」
小森くんパスタちゅるちゅるしながら激しくストップをかけてた
「あんこ屋!?あんこ専門店か?」
「僕は、流さんの炊くあんこ好きですから、毎日でも逢いたいです」
皆、えっ!?って顔をしてしまった
「小森くん…それって?」
翠さんが恐る恐る聞くと
「あんこに決まっているじゃないですか~。流さん、デザートあります?まさかと思いますがテラミスじゃないですよね?僕は…あんみつがいいかも」
「うるさい!イタリアンランチなんだからテラミスで悪いか!!」
小森くんのデザート予想が当たってたらしく
流さんは、ちょっと赤くなりながら魚にフォーク刺してた
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