もちろん

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「宗吾さん、ちょっと遅くなっちゃいましたね」 「ああ、そうだな。失敗したよ、まさか市民マラソン大会があるとは思ってもみなかった」 「ふふ、そうですね。 けど、目の前でランナーが風をきって走る姿は気持ち良さそうでした」 「ぼくは、お兄ちゃんと応援楽しかったよ」 芽生くんは、笑顔で僕を見てきた 「そうだね、芽生くんのあの掛け声とっても良かったよ」 ♪がんばれ・がんばれ・わっしょい・がんばれ♪ テンポのいい掛け声で通過待ちをしている回りの人達も 一緒に応援をした 応援の一体感が楽しくて待っている時間は、一瞬で過ぎた気がしていた 「宗吾さん、あの待ち時間ってどれ位だったのでしょうね」 「係の人が先頭が通過して30分で通すって言ってたな」 「じゃあ、通過出来なかった人は…」 「土手の方に行って土手でゴールらしいぞ。 なんでもローカルテレビ局主催で中継もしているらしいぞ だから、先頭から30分程のランナーのゴールは、ローカルテレビ局前でゴールらしい」 「なんだか市民マラソン大会って言うより 市民マラソン競技会みたいな感じで真剣なんですね」 「そうだな、今、市民ランナーも沢山いるし 草分け的な人もいるしな」 「好きじゃなきゃ出来ない事ですね」 「ああ、『好きこそ物の上手なれ』だな」 「パパ?スキモノノ……って何?」 芽生くんが聞いて来る アワワワ 言葉がちょっと…だいぶ違う 慌てて宗吾さんを見る 「芽生『好きこそ物の上手なれ』だ 自分が好きだって思っている事は、上達が早いって事かな」 宗吾さんもギョッとしながらもちゃんと説明をした 「ほら、芽生くん。お絵描き好きでしょ。 上手くなろうとしてる訳じゃないけど段々上手になってない?」 「あ!なってるかも」 「そう言う事を『好きこそ物の上手なれ』って言うんだよ」 「ありがとう!!お兄ちゃん!!また勉強になったよ」 芽生くんの邪気の無い笑顔が眩しい 「ねぇ、パパ…」 「ん?どうした?」 「今日お祭りあるの?」 車を月影寺からちょっと歩く 第二駐車場に置いて 竹林を歩いていると そう言えば…何だか人が沢山いる 「本当ですね、何だか皆さんランナーのように急いでいる気が…」 「ううん?それも何だか女性が多い?」 「みんなどこに行くのかな~?」 すれ違う人は居ない 皆、同じ方向に歩く 「一体何があるんだろう?」 首を傾げながら僕達は、月影寺に向かうのだった
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