春雷・春風

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「リュウ……ナンデスカコレハ?」 テーブルの上に山ほど積まれた 薄いのに山になる薄い本 「え~っと…薄い本?」 「それは、わかるんだが… その、えっと……この表紙…」 俺の目の前には、可愛らしい男の子がスケベ下着に包まれ がたいのいい男に絡み付いてキスをせがむような絵 尻!!尻が出てる!! ホログラムになってキラキラ輝いているピンクの表紙 『男性(あなた)が欲しい』 はいぃ~~~? 社内だってこんなキャッチコピー考えるヤツは居ない もうひと山ある一番上を見ると 『性春』 あ!!誤植!! とは思ったが 数人の男の子が一人の男の子にいたずらしている絵 ……ああ、性春あってるのか? 「宗吾…フリーズしてる?」 「あっ、いや、ちょっとビックリ…」 「だよな、俺もビックリした」 「流…お前…これ、全部買って来たのか?」 恐る恐る聞いた 「いや、買って無い うみさんの場所に行くまでに 作家さんから読んでくれって渡された」 まあ…うん、渡したくもなるな あわよくば連絡先聞けるかもと女子なら思いそうだ 「これ、全部?」 「みたい。この木箱の方は、みおが送って来た 皆で分けろって言ったが ジャンルが違うとかよくわかんない事言ってて 宗吾、少し持って行け」 「お裾分けって…」 「ああ、同人誌(コレ)だ」 「えっ!?いや、これは……」 「瑞樹君と一緒に読めよ ほら、夜へのエッセンス」 ニヤニヤする流の顔をまじまじ見た 「流もエッセンスにした?」 「いや、まだ見せてない だから、何と無く目に付く所に」 「ちょ、ここじゃ薙君に……」 「薙は、もうここは飯を食う位しかいないからな大丈夫 宗吾ん家は、まあ、寝室に置いておけば大丈夫だろ?」 いや、そうなんだけどさ…… 「中身見て持って行けよ 瑞樹君と重なりそうな絵とかシチュエーションあるだろ?」 は? シチュエーション!? もう俺には色々なキャパシティ超えをしてる パラパラとページをめくり 俺に渡して来る 「これどうだ?」 メイド服の可愛い男の子が お客様にサービスするが 反対にサービスされてヘロヘロになるお話 え… これ…下半身… え? え? え? 「流…これ…」 「あ?ああ、下半身うっすい修正って言うのかな? まあ、バッチリだよな(笑)」 ゲラゲラ笑ってる 「イヤイヤイヤ… これ、瑞樹に見せたら卒倒するな…うん…する」 絶対こんな本見たら大変だ けど…… 何だこの後を引く感覚 怖いもの見たさなのか!? 俺は、開けてはいけない扉の取っ手をつかんでいる気がしてならない 今なら今なら…… 「宗吾、大丈夫だ もうお前扉の中にいるから」 …なんだ?声にしてない…よな、俺
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