春雷・春風

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「宗吾さん、ちょっと意味がわからないので 最初から話してください」 ちょっと冷静な瑞樹が怖い 「は、はい。 この前、鎌倉のクライアントに行きました 帰りに流に会い昼飯を月影寺で食べました 流がこの前うみさんに誘われて同人誌の即売会へ行ったら 作家さんに沢山本を頂いたから お裾分け」 「本?」 「本!……瑞樹知らない? 薄い本ってコレ呼ばれてるの」 瑞樹は、薄い本に目を向けた 「え?これが薄い本なんですか!?」 瑞樹が目線話さない 「知ってたか?」 「あっ、いや、モノは知りませんでした この前、店舗に行った時に副店長さんが 薄い本書いてるって聞いて なんだろうな~薄いから詩集かなって思ってました」 思わず微笑んだ 「可愛らしいな、瑞樹らしいよ」 「あっ…宗吾さん、頂いて来るのは構わないのですが隠す場所考えてください 芽生くんには、目の毒です」 「わかった、ごめん けど、瑞樹には目の毒じゃなかったね」 「も~宗吾さん、いじわるです」 真っ赤になりうつむいた 右手で瑞樹の左の頬を撫でた 「み~ずき、あれドキドキした?」 俺の方に引き寄せた 「ぼ、僕…ああ言うのあまり見たこと無かったから…」 ううっ やっぱり可愛いぞ とろんとした目で俺を見上げる瑞樹は 溶けたストロベリーアイスのよう そこにチョコレートを好きなだけ掛けて甘くてデロデロにする そんな瑞樹の口内を舐め吸い上げると 鼻にかかる声が更に興奮させてくれた 「なっ、瑞樹…ゴールデンウィーク 芽生母さんの所に二日お泊まりにさせて 一日お互い有給休暇入れて 大人の時間過ごそうか?」 俺は、瑞樹を愛でながら囁くが 瑞樹の反応は…… 喘ぐか大きく息を吸うかしか反応しない うん…まあ、この話は明日でいいか 今日、今は、瑞樹を可愛がる 昔、俺ではない男性(ひと)と微笑み合う瑞樹を見た時 綺麗で可愛らしかった あの微笑み向けてもらって羨ましかった あれから何年経った? 俺の腕の中で誰も知らない瑞樹の顔が見えている この優越感と 初めて見たと言う本を目にして乱れる瑞樹を初めて見れた 感無量だ どんな瑞樹でも大好きだ 愛しているぞ そう思いながら 瑞樹をトロトロに溶かし 甘い甘い夜にしようと思う
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