好きな✕✕裏面

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好きな✕✕裏面

「あれ?翠…今日小森は?休み? ははぁん!!アイツとうとうあんこ食い過ぎで腹壊したか~」 つい、翠の前で悪い顔しながら笑ってしまった 「流…小森君は、元気だよ 伝えなかった?小森君コミュニティラジオに出るんだよ あんこ好きの小坊主君がいるって取材されて出演依頼来たんだよ」 翠は、ラジオを持って周波数を合わせてる 「へー、アイツあんこの話しかしないだろ? 需要あるのか? アイツ出て喜んでいるの菅野君位しかいないよな」 そう言って翠に目をやる 「流は、意地悪だなぁ~小森君は、僕の外弟子一号なんだよ 僕も小森君の話聞きたいよ」 と、口を尖らせほっぺたが少し膨らんだ ……可愛いじゃないか ん?弟子!? 「ちょっ…翠? 俺が一番弟子だろ!?」 あわてて訂正させようとした 「ん?流は、内弟子だよ いつまでも一緒に居たい内弟子 いや、弟子じゃくて愛弟子… 愛しい愛しい流ダヨ…」 んー?んー? なんつった!? 翠は、なんつった!? 翠の顔が真っ赤で手で覆ってる 身を乗り出し 「翠?」 と、声をかけた時 ラジオから「愛がすべて」が流れ出す 途端に翠は、人差し指を口元にし 「しー」っと言いながら正座をしてラジオの前に座った 小森…あんこ愛が熱すぎる いや、暑すぎる いや…厚すぎるし圧すぎる 全部含めてアツイわ…… けど、翠は楽しそうに 頷きながら聞いている まるで小森が目の前にいるような仕草 これ、ラジオの前に饅頭あげそうな勢いにだな 俺が苦笑いをしていた時 目の前の箱からまさかの言葉 「流師匠が教えてくれました」 はい? アイツなに言ってるんだ!? 「流…また、小森君に嘘を吹き込んで…」 あきれ顔でこちらを見た 「イヤイヤイヤ!!翠聞いてくれ!! ほら、春に桜餅みたいなのを作った時に 『お前の正装だな』とは言った!!認める!! 小森勘違いしてるんだよ~ す~い~本当なんだよ~」 「わかったよ、流…ククッ必死過ぎるよ」 そりゃ、必死だよ、翠 俺は、翠に嫌われでもしたら生きて行けない 愛を乞うよ 雨が降ろうが、槍が降ろうが 俺は、一生翠に愛を乞う 「流師匠は、愛の伝道師なんです」 そう、俺は愛をどう表すか どう表現するかは人間の永遠のテーマだ! 鼻の穴を広げながら自慢気に翠の方を見た その時 「一線」って言葉が聞こえて 無理矢理パーソナリティーが遮って番組は終了した 「流?小森君に何を話したの? 一線…の内容教えてたの?」 振り向く翠 綺麗な顔立ちの翠 顔の表情筋の働きが一切無い翠が 俺の顔を見つめた 「あっ?翠?顔怖いよ? いや、一般論、一般論だよ? アイツもちょっとは、悩んでいるみたいだったから!! ね、翠?翠?聞いてる?」 そう言って翠に近寄るが 翠は、黙ってる 「翠~悪かった!! なぁ、翠~機嫌直して?」 翠に嫌われでもしたら生きて行けない 俺に出来る事はただ一つ 「翠~小森帰って来たら ラジオデビューのお祝いするか!! 何食べたい?」 そう、愛を乞う事だけ 俺の翠に愛を乞うだけ
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