しあわせ座談会

今年も

時は遡り2023年7月末
梅雨明けをしたかしないかさえ思い出せない位に暑くなり始めた頃

とある寺の小坊主さんが
なにやらふわふわしながらはたきをかける

「ん～……」

「小森？小森～？」

「あっ!!師匠!!!!」
流さんに気がつき
ぱぁ～っと笑顔になる

「なんだ？小森、どうした？」

「ん～あの～師匠!!
実は…お願いがこざいます」

「小森…何だか妙に丁寧なのが怖いが
とりあえず話聞くぞ」

流さんと小森君は、その場に座りコソコソし出す

「は？お前……本気か？」

「はい、本気と書いてマジと読みます」

「お前、ちょいちょい古いな」

「ふふふ、この前菅野くんと夜更かしして動画サイト見てたら
昭和歌謡とかの動画見て感銘を受けました!!」

「小森？感銘って意味知ってるか？」

「はい、師匠勿論です!!」

「あ、まあ、いいや
じゃあ、ちょっとソレ考えてみるか？」

「やった～!!流石師匠です」

それからほどなくして
週に一度流さんと小森くんで
庫裡に籠りなにやらヒソヒソ

「小森、やっぱりソコまでは無理だな」

「え～そんな……」

「後は、材料は変えないけど
寒天入れて冷たくしたりして
違うモノに変えたり…」
ふと、小森くんの顔を見ると
ズーンと沈んでる顔

「あっ、あっ、もう少し研究してみるか!!」
翠の可愛がる小森の沈んだ顔を見ると
心がざわざわする
はぁ～
俺の頑張りが最終的に翠の笑顔になって
誰得!?俺でしょ…だよな～
よし！頑張る

8月のお盆

「流さ～ん、コレ朝ごはん？」
起きて来た薙から一番最初に出た言葉

「おっ、薙!!おはよう」

「あっ……流さんおはようございます」

「そうだ、朝飯だ！
流さん特製だぞ？
小森は、来た途端食べて
昼飯もソレがいいと言ってるぞ
その顔見た翠は『持ち帰るならお重に詰めるよ』って言ったら
フルパワーで掃除に向かったぞ？」
笑いながら薙に話をする

「流さん……こもりんと一緒にしないで…」
そう言いながらお萩を口に入れる

甘さ控えめで遠くで塩味を感じる

「今年は、暑すぎる夏だから
塩分補給にもなるかなと思ってな」

「あ～なるほど…
って言うかこれお萩っぽく無い形だよね？」

「えっ？ああ…うん…小森がな」

「こもりんが？」

「流～流～檀家さんがいらっしゃったから
お茶お持ちして～」
翠さんから声がかかる

「承知した！今、向かう」
流さんの声が庫裡に響いた

「あんあんあ～ん、あんあんあ～ん、ああんああんあああ～ん」
庫裡に向かう小森くん
ご機嫌な歌を口ずさんでいる

「小森くん？ご機嫌だね」

「はい、住職様
この日を楽しみにしてました」
笑顔で答える

「あ！夏に流と何かしていたもんね
出来たら僕にも見せてくれる？」

「勿論です！ご住職様」
そう言って庫裡に入って行く

「流師匠、本日はよろしくお願いします」
一礼して師匠の前に立つ

「ああ、後は小森がしてくれ」
出来上がりの材料を目の前に置いた

「うわぁぁぁぁぁあんこちゃん」
おめめがキラキラ輝く

「小森、再度言うぞ18号サイズとか20号サイズは出来ないからな
大福位な大きさに留めろ」

「はいっっっ」
軽快な返事をしているが
本当にわかっているかな…
そう思いながらも手出し無用で見守るさ

「あんあんあん、とっても大好き
あんこ～ちゃん～」
お萩を作る要領で
小さいショートケーキに似たようなモノを作ってる

そう、小森はあんこで
ケーキを作る
…意味がわからなくなったが
まあ、そんな感じ

「師匠見てください!!
あんこケーキ!!どうです？」
小さいホールケーキのように
丸くあんこが塗ってある

「あ…いいんじゃないか？」
アレ誰が喜ぶ？
菅野くん位じゃないか？
後は、製作者本人
この二人が結婚式したら
ケーキ入刀じゃなくて
饅頭入刀になるんじゃないか？
って位あんこ命だよな
まあ、それだけ二人が力を注げるモノがあるのはいいことだな
俺と翠は………
勿論、薙だよな
うんうん
思わず顔がほころぶ

「小森くん！来たみたいだよ」
翠が小森に声をかけた

「来たって…呼んでたの!?」

「あ、うん
どう持ち運ぶか悩んでたから
呼んじゃえばいいかなって連絡しておいたよ
ダメだったか？」

……俺は、小森を使いに出して
明るいうちからアンアンウハウハ
しようかと思っていた
とは、口が裂けても言えない

「ごめんください」
玄関から聞こえる声

「「うみさ～ん いらっしゃい」」
「どうぞお上がりください」
翠が出迎えた

「うみさん、暑かったでしょ
どうぞ、粗茶ですが」

「ご丁寧に
ここで流にもてなしてもらうと
やっぱり副住職の貫禄あるわね」
お客様のうみ先生は、ニコリする

「あっ、あっ
うみ先生…こちらどうぞ」
小森の手が緊張でか小刻みにふるえてて
うみ先生の目線が手元に
行く瞬間三人で声を揃えて言う

「「「お誕生日 おめでとうございます」」」

そう、本日9月13日
志生帆 海先生のお誕生日で～す

今年は、こもりんが
あんこで出来たケーキもどきを
作ったようです
絶対大変だったはず
けど、こもりん思い付いちゃったから
作りたくて仕方がなかったようです

その傍ら翠さんは
流さんがメインだけど
お芋のおやつと
ハニーキャラメルのおやつ
あんこのおやつ&お茶を
作って
配送したようです
午前中に送ったらしいので
誕生日には間に合わなかったが
近日中
「もう、流ったら!!」
って喜んでくれるかな
再度
うみ先生おめでとうございます
今年も健康第一で
楽しいお話書いてください♡