町内会防犯教室

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町内会防犯教室

「皆さん、こんにちは」 「「「こんにちはー」」」 ここは、町内会所有の広場 ここで冬は、餅つき 夏は、盆踊りをする広場 「うわぁ~皆元気だね~」 多分婦警であろう女が子供のテンションを上げていく 「ねぇ、ねぇ、流」 俺の袖口をツンツン引っ張る 「どうした?翠」 翠の方に顔を向けると 何だか顔がキラキラしてる …ん!? まさか、あの婦警 いや、そんな事は… 妙な不安にかられる 「昔、デパートの屋上でヒーローショーを見た時 こんな感じになったよね」 クスクス笑ってる ああ、ヒーローショーの司会は 子供達のテンションを爆上げをしないと つまらないヒーローショーになるからな 皆、張り切って振り切るの大事なんだっけな 大学時代の友人がそう話をしていたのを思い出した 「翠、楽しそうだな」 「うん、防犯教室なのにはしゃいでしまうのは 不謹慎かな?」 少し考え込むのが見えた 「いや、教室何だから 楽しみながら覚えるのがいいんじゃないか?」 そう言うと、また翠の口角が上がった 「さて、みんなは防犯の 『いかのおすし』って知っていますか?」 「「「知ってる~」」」 「じゃあ、皆で言ってみようか せーの『いか』」 「「「いかない」」」 「『の』」 「「「のらない」」」 「『お』」 「「「大声をだす」」」 「『す』」 「「「すぐににげる」」」 「『し』」 「「「知らせる」」」 「凄いね、皆!! よく覚えてる!!」 婦警さんは、メチャクチャ褒めている 「なぁ、翠、俺『し』は 死で償えかと思ったわ」 真顔で言うと 「流、物騒だよ…」 「いや、だって 翠が連れて行かれたら 俺は、冷静でいられないよ 叩きのめしてやる」 右手の握りこぶしを 左手で受ける 「流………ありがとう けど、大丈夫だよ」 そう言いながら翠の口角は緩んでいる ここが真っ昼間の 町内会の広場じゃなければ 影に連れていき激しいキスをしたくなる 「じゃあ、これから大きな声を出しましょう!!」 そうだ 回りにいらっしゃるのは 国家公務員であられる警察官が沢山… キスしたら… 公然ワイセツ罪かなぁ~ なーんてくだらない事を考えていたら………… 「それでは、子供達に手本を見せて頂きたいので そちらの細身なお兄さん!! お願い出来ますか? 町内会長さんからお寺のご住職様と伺いました お願い出来ませんか?」 「あっ………」 クソ町内会長め 翠が断りづらくしやがって 「翠、俺が行くか?」 「大丈夫だよ、流」 小声で俺に言い 「はい、私でお役に立つなら」 と、にっこり微笑みながら 前方に進んで行った オイオイ… 大丈夫か!?翠……
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