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普段の怠そうな態度が180度ひっくり返ったみたいに、律儀に手を振ってファンサービスをする。
健闘こそしたものの、球技大会の結果は四位。
「運動部あんまりいないほうにしては頑張ったほう」「微妙な順位」と、ネガティブな感想を口々に言い合うが、皆笑い混じりで悲壮感はない。
その後は誰かが打ち上げに行こうよ、と言い始めたので、クラスの雰囲気は賑やかになる。
一年、二年の頃はまごついていたけれど、三年にもなればテキパキと事が進む。
「じゃ、カラオケ予約したから。何人くらい来られる?」
参加人数のカウントが始まったので、怜は「行けない」と断りを入れてから帰ろうとした。
……が、周りの音量が凄まじくて、怜の声は誰も拾ってくれない。
「俺も俺も! 飯はどうするよ?」
「あー、カラオケで何か適当に頼めば……あっ、真澄は絶対参加な」
「えー、だる」
「真澄参加しまーす!」と女子達に向けて大声で叫ぶ。
西澤はわざとらしく溜め息をついて、後ろ髪をかく。
ますます声のボリュームは大きくなって、怜は困り果てた。
もういっそうこの場の誰も気付いていないのだから、抜けてしまおうか。
大人数でわいわいやるのも苦手だし、何より今日の球技大会で実質チームには貢献していないので、打ち上げに参加するのは気が引ける。
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