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だからって。駄目だよ、その白い肌を見せつけるような真似は。
「レースのカーテンくらい、しとこ?」
端に寄せられていたカーテンを閉めた、室内がほんの僅か暗くなる。
「あ、ありがとう」
玲さんが言う、その顔を振り返り見下ろした。
「……あの……」
玲さんの視線が泳ぐ、肌は見えていない、シャツはたくし上げてデコルテに溜まっていた、シャツは授乳専用の前身ごろに切れ目が入っていてめくりやすくなっているものだ。胸より下はタオルケットに完全に隠れている。こんもりしたふくらみは瑠唯くんを抱っこしているんだ。
「瑠唯くん、いっぱい飲んでる?」
「……うん」
「見たい、瑠唯くんのお食事風景」
「え、そんな」
恥ずかしそうに戸惑うのが、とてもかわいかった。そんなお願い失礼だと追い返せばいいものを。
「見たいのは瑠唯くんだけだよ」
変な意味じゃないよと、俺なんか見てないけど微笑んで言うと、玲さんは小さくうなずいてからデコルテにたまった服を整え、タオルケットを下ろす。
瑠唯くんの顔は玲さんの服に中ほどまで埋もれていた、わずかに見えるほっぺが規則正しく動いているのがわかる。
「かわいいなあ、ね、一所懸命飲んでるね、かわいいねえ」
いうと玲さんは微笑んだ、まさに聖母マリアの笑みだ。
「早く大きくなりなよー」
瑠唯くんの頭を撫でた、小さな頭は手のひらサイズといっていい。
俺の手が近づいたことで玲さんの頬が引きつるのが見えた、構わず撫で続ける。
後頭部から頭頂部へ──指先を玲さんが着るシャツに当てて──玲さんは咄嗟に体をねじってしまった、瑠唯くんを抱きかかえるようにして俺から隠してしまう。
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