208人が本棚に入れています
本棚に追加
「かわいいねえ、ねえ、玲の子供は、本当にかわいいねえ」
髪に白髪が混じる男性が赤ちゃんを抱っこしていた。玲さんの伯父さんで便宜上お父さんの保晴さんだ。
「ああ、本当に、なんてかわいいんだ!」
そういって頬にキスをしようとするのを、兄が手でガードして止めた。
「ひどいな、光輝くん」
保晴さんは不機嫌に兄を見上げる。
「隙あらば狙うのはやめてください。俺だってまだしてないのに」
兄はにっこりと微笑み抵抗した、昨日退院したばかりだという。入院中も散々会っていたけれど、抱っこするのも怖かったそうだ、確かに小さくて細くて壊れそうだもんな。
保晴さんはかわいくして舌打ちをして、赤ちゃんをうちの父に渡した。
「おおおー、小さい、小さい!」
最初は結婚を反対していたやつとは思えない、顔であり声だった。下がりっぱなしの眉に、目は見えなくなるほど細まって。初孫だ、やはり嬉しさは格別らしい。
「私も、私も!」
母が手を出す、抱っこさせろというんだ。父は素直に母に手渡す、やはり母のほうが抱っこは慣れているなと思った。
「んまあ、かわいい! ほら見て、目元なんか光輝にそっくり!」
「まだわかんねえだろ」
「鼻筋は玲に似ていると思います、ああ、美人になるねえ」
「……そうですか?」
「輪郭は光輝に似てるな! うん、賢い子になるぞ!」
「あ、そ」
祖父母の褒め合戦に兄は呆れる。俺も呆れるわ、新生児なんてどれも一緒じゃね?
最初のコメントを投稿しよう!