3. 兄の子

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「かわいいねえ、ねえ、玲の子供は、本当にかわいいねえ」 髪に白髪が混じる男性が赤ちゃんを抱っこしていた。玲さんの伯父さんで便宜上お父さんの保晴(やすはる)さんだ。 「ああ、本当に、なんてかわいいんだ!」 そういって頬にキスをしようとするのを、兄が手でガードして止めた。 「ひどいな、光輝くん」 保晴さんは不機嫌に兄を見上げる。 「隙あらば狙うのはやめてください。俺だってまだしてないのに」 兄はにっこりと微笑み抵抗した、昨日退院したばかりだという。入院中も散々会っていたけれど、抱っこするのも怖かったそうだ、確かに小さくて細くて壊れそうだもんな。 保晴さんはかわいくして舌打ちをして、赤ちゃんをうちの父に渡した。 「おおおー、小さい、小さい!」 最初は結婚を反対していたやつとは思えない、顔であり声だった。下がりっぱなしの眉に、目は見えなくなるほど細まって。初孫だ、やはり嬉しさは格別らしい。 「私も、私も!」 母が手を出す、抱っこさせろというんだ。父は素直に母に手渡す、やはり母のほうが抱っこは慣れているなと思った。 「んまあ、かわいい! ほら見て、目元なんか光輝にそっくり!」 「まだわかんねえだろ」 「鼻筋は玲に似ていると思います、ああ、美人になるねえ」 「……そうですか?」 「輪郭は光輝に似てるな! うん、賢い子になるぞ!」 「あ、そ」 祖父母の褒め合戦に兄は呆れる。俺も呆れるわ、新生児なんてどれも一緒じゃね?
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