4. 兄の手伝い

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4. 兄の手伝い

勝手に転がり込んで1週間。 服やなんかは実家から送ってくれることになったが、到着までは兄の物を借りていた──くそ、足、長ーんだよ──そんなことも落ち着いて、俺は少しは横浜での暮らしに慣れ始めていた。 スーパーへもひとりで行けるし、時には観光したりもする。近くには綺麗な庭園があったり、山手本通り沿いは異国情緒のある街並みと、となかなか風光明媚で楽しめた──玲さんと散歩できたらなあ。 リビングに使い捨てのモップをかける、ダイニングに移ってから、ため息が出た。 「マジ、この家、広すぎ」 まともに丁寧にすべての床に掃除機をかけるだけで3時間はかかるとわかった、使い捨てのモップだって大差はないが、重さがないだけ楽だ。 「そうなんだよー」 キッチンに立つ兄が笑顔で答える。 「いつもは玲さんが?」 「お義姉(ねえ)さんと呼べ」 「へーい、おねいさん」 立場の違いを主張したんだろう、でも玲さん、本当童顔だもんな、年上には見えない。 「いつもは気になる埃を取るくらいだな、きちんと掃除機をかけてなんて掃除は保晴さんが休みの日に、総出でやってる」 「ふうん。じゃあやっぱ俺がいてよかったじゃん」 と恩を売っておく、とりあえず玲さんの穴埋めはできるんだからな。 「確かにな。まあ、世のシュフは、本当すごいと思うね。家事の手順や分配を考えるだけでも重労働だわ」 「確かに」 とはいえ兄はひとり暮らしをしていた、とりあえずの家事はこなせるようだ。だから今は主に料理をするのが兄で、掃除をするのが俺となる。 洗濯物は保晴さんが朝のうちに乾燥まで済ませてくれている──ちっ、玲さんの下着、見たかったのに。 「よくお母さんが飯何がいい?なんて聞いてたのも、メニュー考えるのが面倒なんだなってわかったわ」 「あ、そうなんだ」 そうか、朝昼晩の食事を考えるのもたるいのか、いつも同じだというならまだしも。
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