4. 兄の手伝い

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☆ 一階の掃除を終えて、二階に上がる。もっとも部屋は半分しか使っていない、使っていない部屋は掃除はしなくていいといわれた、つまり一階よりは面積が減る、ありがたい。 まずは保晴さんの部屋、それから兄と玲さんの部屋をノックする。 「失礼しまーす、お掃除でーす」 返事を待たずに開けてしまった、すぐに「あ」という玲さんの声がする。 こちらには横を向く形で置かれたベッド、その上に座り、玲さんは瑠唯くんを抱っこしていた。 玲さんが慌ててタオルケットを引き寄せ、胸元を隠すのが見えた。 「──あ、ごめんなさい」 授乳中だ。 「ううん、大丈夫」 声を聞きながらドアを閉めかける──そっか……授乳……。 「あ」 言ってドアを再度開けた。 「カーテン、閉めたほうがいいんじゃない?」 玲さんの向こうにある腰高の窓のカーテンは全開だった。窓はもうひとつ、足元側にベランダに出られる掃き出しの窓があるが、そちらはレースのカーテンが閉められている。 「え、あ、ううん、別に大丈夫、だけど……」 玲さんが戸惑いいうけれど、俺は構わず室内に入った。 「駄目だよ、向こうが断崖絶壁で絶対見えないっていうならまだしも」 玲さんを安心させるため、窓だけを見つめて進んだ。玲さんはがっつり俺を見ている、タオルケットを手繰り寄せるのがわかった。 窓の外は車が一台通れるほどの道と、その向こうは木々が生い茂っている、それは道を挟んだお向かいさんの庭木である。確かにこれだけ葉があれば、その敷地からもこの部屋は見えないだろう。
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