4. 兄の手伝い

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頼まれたので俺は素直にキッチンに行って瑠唯くんを受け取った、兄の手には哺乳瓶がある。 うん、おむつは乾いてる、交換してから来たんだ。 「──お前さ、玲になんかしたの?」 兄の小さな声にどきりとした。 「え、なんか言ってた?」 服捲って乳首見やがったなんていわれたら一発KOだが、兄の気配からじゃそこまではなさそうな。 「お前が怖いってよ」 その程度か、よかった。 「あ、ごめん。今日掃除ん時に、おっぱいあげてるとこに入っちゃったんだ、怖がらせちゃったのか」 「少しは気を使えよ。ただでさえ母乳ってのは、精神状態にも影響して……って、実はさっさと母乳はやめてもいいなと思ってるから、それはそれでいいんだけど」 「なんで? 母乳っていいんじゃないの?」 「母乳あげてると一般的には妊娠しないっていうからな、どうせなら早くふたり目も欲しいし、っていうか、やっぱ母乳上げてると俺が手ぇ出しちゃいけねえなって気がするじゃん、早く玲を返してほしいわ」 そんなことを、兄は嬉しそうに微笑みながらいう。 「独占欲(つよ)!」 「ほっとけ。愛してるっていってくれ」 「嫌なパパでちゅねー」 「うるさい、息子も愛してる」 兄は慣れた様子でキューブの育児用ミルクを哺乳瓶で溶かし、温度を確認してからそれを持ってソファーへ行くよう促す。 「でもそんな早くふたり目なんかできたら、本当にお父さんたちブチ切れなんじゃない? 兄ちゃん、まだ勉強続くんだろ?」 医学部は在学が長いはずだ。 「まあ玲次第かな。あいつが少し開けたいっていうならそうするし、でもあいつが年子抱えて忙しそうにしてるのを見るのもいいなって思うし、あいつもすぐにふたり目欲しいって言うと思うし。ともあれ玲は返してほしい」 「野獣めー」 「かわいいだろ」 それは自分のことではない、玲さんのことだ。本当に好きなんだな。 「あ、俺がミルク上げたい」
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