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いうと、兄はすんなり俺に哺乳瓶を渡してくれた。
唇を刺激するとすぐに口を開けて、乳首を口に含む。んくんくと音を立てて飲み始めた。
「マジ、かわいいー。俺がいなかったら、この子どうなるんだろうとか思っちゃうー」
「父性を出すな」
「えへへ」
でもやっぱ俺の子だったら、なんて思うよな。もちろん、俺と玲さんの。
まもなく空になった哺乳瓶を兄が取り上げる。
「縦抱きにして、背中を叩く」
「た、縦抱き?」
わからずにいると、兄が瑠唯くんを支えて俺の肩に頭を持たれかけた、俺の腕に瑠唯くんのお尻を乗せ、その背を叩く。
くたりと身を預ける瑠唯くんが、まあ、もう!
「ふわあ、マジ、ちっちゃ! かわいい!」
「これがお前みたくデカくなるんだから不思議だよな」
「兄ちゃんに言われたくないし!」
身長は兄のほうがでかいんだ。
兄が哺乳瓶をキッチンに持って行くと水で簡単に流してシンクに置いた、洗うのは明日にするらしい。
と、その時瑠唯くんが赤ちゃんらしからぬ、げっぷをする。
「まあ、お前も兄弟っていうと男しかいなくて距離感がわからないかもしれないけど。玲は義理できょうだいになったとはいえ赤の他人だ、母さんが言うようにちょっとナーバスな頃でもあるし、気ぃ遣えよ」
赤の他人、だけど兄の嫁だ、そうじゃなかったらどれほどよかったか──そんな心を隠して微笑む。
「うん、わかった」
キッチンから戻った兄が瑠唯くんを受け取る、ふたりして二階へ上がり、それぞれの部屋に戻る──兄は玲さんが眠るベッドに戻るんだ、それがどんなに羨ましいか、あなたにはわからないだろう。
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