208人が本棚に入れています
本棚に追加
「なあんだ」
「なんだ?」
「なんかすっげー考えちゃった。実は瑠唯くんも兄ちゃんの子じゃないのかなとか」
両親も兄に似てるとか盛り上がってたけど、ばっかみてーって思ってたのに。
「俺の子だわ、そっくりやろが」
「あんなちっちゃいとわかんねえって」
「確かに」
でもわかるよ、保晴さんには、全然似てない。
「……なあんだ」
兄から玲さんを分捕れると思ったのに。
「……なんで、うちの親にはいわなかったの?」
「別にわざわざいうことでもないだろ、保晴さんは元夫ですなんて」
「うーん、そっか」
確かに複雑か、元夫の世話になりながら生活するなんて。
「余計な心配かけるだけだからな」
「確かに」
ただでさえ妊娠した嫁をいきなり連れてきての上に、それじゃ、両親の心臓が止まりかねない。
「まあこのあたりのご近所さんは知ってることだから、隠し通す気もないけど」
「そうなんだ」
この家は保晴さんと玲さんが結婚した時に買ったものだという、新婚ですと挨拶をし、もちろん兄と結婚したことも挨拶した、皆さんおめでとうといってくれたらしい。
なーんだ。つまんねえの。
「でもまあ、いっちゃなんだけど、保晴さんに玲さんはもったいないと思うから、よかったといえばよかった」
「そういうことは言わない、って俺も思ったけどな」
兄は写真のふたりを見ながらいった、どう見ても月とすっぽんだもんな。
月の女神はセレネ、ダイアナ、嫦娥──いずれも美人の象徴だ、まさしく玲さんじゃん。
最初のコメントを投稿しよう!