6. かわいいひと

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今は瑠唯くんもリビングのベッドで大の字になって眠っている、ミルクももらったばかりでしばらく起きないだろう。 兄がそうしろと言うと玲さんはいそいそとリビングから出ていった、階段を上がる気配は部屋に着替えを取りに行ったんだろう。そしてパタパタと戻ってきて遠くでドアの開閉の気配がする。 玲さんが、お風呂にいる。 そう思うとソワソワしてしまった。今なら兄は洗い物に夢中だ、玲さんはひとり全裸でいる──そろりとリビングを出ていた。 足音を忍ばせてそちらに近づいた、階段下のトイレの向かいに当たる場所だ。 ドアは元々きしんだりはしないが、特にゆっくりと静かに開けた。全開にしたらバレてしまう、三分の一ほど開けて中を覗き込む。 脱衣かごにきちんと畳まれた衣類が見えた、曇りガラスのほうを見る、ぼやけた人物が映る、小柄な姿に全身にぞくりと熱が走った。 ドアだけを隔てた向こうに、無防備な姿で玲さんがいる。もしドアを開けて飛び込んだら玲さんはどうするだろう? きゃ、なんて、かわいく声を上げて体を隠すかな。 ばっかもーんって怒鳴って追い出すかな──あるいはよく来たと抱きしめてくれたり──そんな馬鹿な想像をして、勝手に股間が熱くなってしまう。 玲さんの小柄だけど女性らしい体、豊満で色白な体、見るからにふわっふわだった胸、ああ、近くで見てーなー……。 「光輝?」 玲さんの声にはっと我に返る、やばい、覗きがバレた。 「どうかした?」 「あー……なんでも」 なるべく低い声で返す、兄っぽく聞こえただろうか。
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