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「水曜日の朝に簡易の検査キットが届くので皆受けるように」と言われた。
木下くんの陽性が分かったので、私達全員が一応濃厚接触者になるので、検査をしようとなったのだ。
しかし、すでに木下くんと最後に会った日から結構経っているので、これに関しても「今さら」だった。
私なんて、木下くんと一言も喋っていない。
とにかく水曜までに感染しないようにしなきゃ、と思っていた月曜日の私。
完全に無症状なのに、検査させられて陽性がでば、それでもう「感染者」として認定されるのだから。
その日は半有給を使い、午後から休みにしていた。
午後一時にタイムカードを切り、速攻着替えた。
早く帰りたかった。
「お疲れ様でーす」
着替え終わった私は、おっさん達に言った。
「上野さん!上野さん!」
颯爽と階段を駆け下りようとする私の背中に、一人のおっさんが呼び掛けた。
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