4 ブラブラのネング・タイム

1/1
前へ
/6ページ
次へ

4 ブラブラのネング・タイム

 なんにも考えてなかった。ただドクターの――俺が実の親父(ゴッドファーザー)みたいに好きだった(ショート・カゲロウ)の仇を討ちたかったんだろう。俺はそこらへんに転がってた鉄パイプ(エモノ)を引っ掴むと、〈ニコニコ裁判所〉の事務所へ弾丸みたいに(アーリー)乗り込んでった。 「ジェフリー・F・アーミテイジを(バラ)したやつは前に出ろ。俺と勝負(タイマン)しろッ!」  ネズミの巣みたいに薄汚い(スカトロ)事務所では、身長1マイルはありそうな筋肉ダルマが4人、所在なげに釘バッド(サボテン)を弄んでた。俺の啖呵(ケンカ・リーフ)を聞くや否や、どいつも気色の悪い(スカトロ)ニヤニヤ笑いを浮かべ始めた。やつらのマヌケ面が俺の怒り(ドハツテン)に火を注いだ。 「どうした、ビビッてんのか?」 「チビ助(ショーティ)、いますぐ失せろ。10秒だけ待ってやる」とサボテンの(アルファ)。  10秒経った。「失せなかったらどうなるんだ?」 「チビ助(ショーティ)、あのボケ老人がどうなったか見たんだろ。てめえも同じ目に遭いてえのかよ」  この台詞(リーフ)から、こいつが殺戮(バラし)に関わったことは明白(オテント)になった。俺は渾身の力(マジポン・パワー)で野郎のド(タマ)鉄パイプ(エモノ)を振り下ろした。  手応えはあった。筋肉ダルマの(タマ)はオマンコみたいに凹んでた。やつは左右に二、三歩よろめいたあと、白目を剥いて大の字にぶっ倒れた。(バラ)せた確信があった。  そのあとのことは覚えてない。次に意識を取り戻したのは(アッパー)、ジャンク屋の裏にうず高く積まれたクズ鉄置き場だった。  生きてる(ナル・ネング)のが不思議なくらいに痛めつけられてた。起き上がることすらできなかった。折れてない骨があるのか、血の出てない部分があるのか、抜けてない歯があるのか疑問だった。  地べた(ガイア)を這いずり回ってた俺を見かねて、何人かの〈落ち穂拾い〉仲間(チクバ)が肩を貸してくれた。おまけに食料(メタボ)まで恵んでくれたやつもいた。  俺は連中に必ず借り(マイナス)は返すと約束し、ねぐら(クソ溜め)にどうにか落ち着いた。  まずは(パープル)を癒す。もし運よく生き延びられれば、やるべきことをやる。  俺はいままで目的もなく(ブラブラ)生きてきた。だけどいまはちがう。やらなきゃなんないことができたんだ。  死にたくない(ナル・ネング・タイム)。初めてそう思った。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加