ミッション 

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【プロジェクトの活動資金】 スーパーコンピューター『京』が運用を停止した2018年、このスーパーコンピューターを活用して、『北方領土奪還プロジェクト』が決定された。 同じ年の1月、10年以上使用されていない金融機関の『休眠預金』の活用が法制化された。その時の残高総額は約1,800億円で毎年約150億円~200億円の増加見込まれていた。 日本政府が直接的に関与せず『北方領土奪還プロジェクト』に必要な資金として、この『休眠預金』が活用されることになった。この資金は民間の資金であり、国の予算には含まれず、使途を公開する必要もなかった。 『休眠預金』があったから『北方領土奪還プロジェクト』が計画されたのか、『北方領土奪還プロジェクト』の必要資金として、『休眠預金に、白羽の矢がたった』のかは、定かではない。 これがプロジェクトの活動資金の原資であったが、参加者はそのことをだれも知らない。ただ、活動に必要な費用は無制限であることだけが、通知された。 プロジェクトに参加している者には、活動の機密を守る対価として、平均的サラリーマンの生涯年俸を上回る額が保証された。勿論、人選には厳密な留意が払われ、”K”によって適格者となった者を、特務機関による身辺調査がおこなわれ、秘密裡にスカウトされた。 ホーム(歯舞学園)は2重のフェンスが設置され、その出入りは厳重に監視された。ホームには、娯楽を含めあらゆる設備が完備されていた。 その警備は、機密保持と実務能力を評価し、”K”によって全国の警備会社から選別された組織(RCC:Royal Security Service)に任された。 RCCの代表者(栗原忠男)は、神奈川県警特殊機動隊の隊長(警視正)を務め、そのスタッフも機動隊の中から厳選された人員で構成されていた。 食事は自衛隊北部方面隊の中から、厳選されたスタッフが常駐して24時間体制で提供された。また、医療チームも北部方面隊から派遣され、簡単な治療はホーム内で行われ、毎月の健康診断はスタッフの義務とされた。
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