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「光星さん、今日はバレンタインです」
「…う、うん」
「バレンタインに渡す金平糖の意味って知ってますか?」
「知らない……あっ」
彼は私の手元に手を重ねてくる。私は思わずビクッと体を震わせる。
「"永遠の愛"だそうですよ?」
「っ!」
「…光星 雪希さん」
低めの声、柔らかな肌、向けてくる微笑み。
その全てが私の心を大きく揺らす。心臓がドキドキとうるさい。聞こえてしまいそう。
私は彼より6つも上なんだ。重たくなりたくない、彼の未来を閉ざしたくない。現実的に考えたら問題だらけなんだよ?だから…だから…!
「僕は貴方のことが好きです。僕と付き合って貰えませんか?」
「…ぁ」
彼の想いを聞いて全て消し飛んだ。だって例えそうだったとしても…私は朝輝くんを好きになってしまったんだから…。
止められるわけなんてなかった。
「わ、私でいいの?…本当に?」
「えぇ、もちろん。気持ちはずっと変わってません。それはこれからも、です」
彼が私の手を握る。
金平糖は、私たちの手の平で包まれる。
降り積もった"永遠の愛"の上で、私たちは流星を見上げた。
「…私も」
そしてどちらからともなく顔を向け合い…
「私も…朝輝くんのことが好きです」
「…はい」
そしてニッコリと笑いあった。
「よろしくね、大河くん」
「よろしくお願いします、雪希さん」
夜明けの星に手が届いた日。積もった愛が溶けないようにと…私たちは降る流星に希った。
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