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「…はぁ」
私は独り、オフィスデスクの上でため息。
ちょうど1ヶ月後の2月14日、私が働くプラネタリウムではバレンタイン用のプログラムがある。そこで行われる子供向け企画を詰めていた最中、突如私のスマホがメッセージを受け取った。
『この度結婚することになりました〜!』
グループチャット内に女友達からのメッセージ。私はほぼ無表情でおめでとうのスタンプを送り、悶々と考える。
『雪希も報告待ってるよ〜』
あー…これでこのグループだと私が最後か。
いくつかのグループチャット、幾度目かの最後。
というか、さりげなく刺すようなこと言ってくれるじゃない?他意はないんだろうけどさ…。
「…はぁぁ」
また1つ、大きなため息。
東京に出てきて、子どもの頃からの夢だったプラネタリウムの解説員となった。自分で番組の企画もできるようになったし、今だって前々からやりたかった子供向け企画のリーダーも任されている。仕事はすごく楽しい。
だけど気づいたら婚期を逃していた。私も今年で30歳。いわゆる三十路を越える。
雪国の田舎町から煌めいていた都会へ。私も星のようにキラキラと輝くんだと思っていたのに…。
「仕事は満足してるんだけどなぁ…」
いかんせん、プライベートの方が…。東京という夜空の下では、私は輝く星になれないということなのか…。
「光星さん、満足してないんですか?」
「うわぁっ!」
私が呟いたその直後、耳元に広がる低音。その声に思わず飛び上がる。頬杖をついていた体が一瞬宙に浮いた。
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