プラネタリウム スイートタイム

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…………… ……… … 「じゃあ、光星さん!カンパーイ!」 「…カンパイ」 少し小綺麗な居酒屋の席で朝輝くんとビールジョッキを重ね合っていた。 結局押し切られている。ほんともう二つの意味でだよ。 …最近気がついたのだが、三十路手前になるとオヤジギャグが思い浮かぶようになるらしい。私もついに終わったなと思う日々だ。 あの後、朝輝くんと企画について長く話してしまい、定時を過ぎてしまった。 私の企画を手伝ってくれている負い目と、今日が偶然金曜日だったこともあって、そのままの流れで飲みに行くことに。 「……」 しおらしくジョッキに口をつけながら、盗み見るように朝輝くんをチラ見する。 …なんか肌とかも綺麗だし。スーツのせいか実年齢よりも大人っぽく見えるし。 ほんと…こんないい子がなんで私なんかを? …いや、いろいろ頭の中で言ってるけど、本音を言えば嬉しいよ。うん。 そりゃあ…気配り上手だし?顔立ちも整ってるし?そんな子にアプローチかけられたら誰だって嬉しいじゃない? でも年が6つも離れているのよ。 6だよ?干支で言ったら半周だよ?私申年だから、朝輝くん寅年だよ?タイガーだよ?大河だけに。 「そういえば光星さん!ずっと気になってたこと聞いてもいいですか?」 「…なにかな?」 チラ見しながらオヤジギャグかましてたのがバレたくなくて、少し目線を逸らしながら尋ねる。 …頬が染まって熱いのはきっと酔いのせいだ。 「光星さんはどうしてプラネタリウムの解説員になろうと思ったんですか?」 理由は当然ある。でも言うのは少し恥ずかしい気もした。 「…えー、笑わない?」 「笑わないですよ。……内容によりますけど」 「保険かけたね」 「笑いません!」 「……ならいいよ」 私は昔の記憶を呼び起こしながらジョッキを傾けた。ちょっとアルコールの力を借りよう、そう思って。 「うーんと小さい頃、星に手が届くと思ってたんだ。手を伸ばせば星が掴めるんじゃないかって」 「星に手が届く…」 「そ。私、雪国の出身なんだけどね。ある日、天体観測をしたんだ」 それは幼い頃、流星群を観測した日のこと…。
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