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「相談屋ねぇ。この前は、探し物を頼まれたんだっけ?」
マグカップを二つ、机に並べながら、髪をショートカットに切りそろえた、中性的な顔立ちの女性が、からかうように笑う。
「ここは、いつから何でも屋になったのかしら」
「笑いごとじゃないわよ…」
ここ、『喫茶サルビア』は、二階建ての居抜き物件を、知人の伝手で借り受けて、先月オープンしたばかりだ。
一階は、直接仕入れた豆を焙煎、挽いたものを、プレス式で提供する喫茶店となっており、二階は、本業を兼ねたある事務所を設けている。
オープンしたと同時に、助手である秋乃の手を借りながら、近所に宣伝して周ったのだが、閑静な住宅地の隅っこ、という立地が原因なのか、一か月経った今でも、客は、初日に来店したおばあちゃん一人のみ、というのが現状である。
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