年功序列ナンバーワン

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年功序列ナンバーワン

ウチの家に入り浸る姑。 今から行く、などの言葉もなく唐突にやって来る姑は、自分の夫を放って何をしているのか。 義理の父はその行動に対し、諫めもしなければ完全に放置を決め込んでいる。 何故? 夫婦でしょ? しっかり手綱を握っていてよ。 思いはすれど口にはしない。 義父は典型的な日本の家長である。 家のことは何もしない、自分のやりたい事しかしない、自分の妻や子供に干渉しない、悪く言えば興味のない人間だった。  結婚生活が長くなれば、伴侶たる相手に配慮はしなくなるのだろうか。それとも役割分担が出来ているのだろうか。 義父と姑の関係性に口出すつもりはないけれど。 姑は、相変わらずしょーもない要件や用事をウチに持ち込んでくる。 テレビが点かないの。 行けば、コンセントが抜けていただけである。 水漏れしているの。 行けば、ネジが緩んでいただけである。 スマホが欲しいの。 分かりました。買いましょう。 ちょっとこのスマホ使いにくいわ。他のに替えて。 ……教えるから慣れましょうね。  と言いながら、何回教えても覚える気がないらしく、その都度メールは? ラインは? あのゲームは? ニュースはどれ? 画面がいつも黒くなるのよ、異常よね? 指で触っても電話に出れないのは何で? うんざりするぐらい、自宅電話からの連絡攻撃が始まってしまった。姑さん、貴女はスマホを持ってはいけない人だったのですね。 それからと言うもの、洗濯機が壊れたやら、新しく買った洗濯機の使い方が分からないとか、肉が食べたいから焼肉に連れて行け、でもチェーン店は嫌、どこそこで特売していたから行こう、友達に健康になると言われたから特別な水を月単位で契約した、なので、そのお金をくれ、という、詐欺まがいなものにまで手を出す始末。 イライラ。イライラ。イライライライラ。 私は姑の何でも屋ではない。 私は姑と結婚したわけでもない。 私は姑の面倒を一から十まで見なければならない立場でもない。 これが姑自体に介護の必要性があるのならまだマシだが……ピンピンしている。 姑に夫がいなければまだ耐えれたが、義父はちゃんと生きて姑の傍にいる。 あのさ、言ってもいいですか? 義父はスマホを操れるけど姑に教える気はないし、姑も義父に聞いたりしない。 二人は仲が悪いわけでもないのに、会話は少なく、互いに相手の予定は知らない、聞こうともしない。 実家に集まる時など大変である。 義父や姑も言いたいこと、興味のあることを、自分勝手に同時に私に話しかけてきて、互いが譲ることをしない。聞く羽目になる私は、どちらに意識を傾けていいやら困惑するだけだ。 なんだこの夫婦。 なんで夫婦をしているの。 行くたびに得体の知れない、理解し難い二人の関係に気分が悪くなる。 お前ら夫婦は一番若い。 だから老後は宜しく頼むぞ。全て任せた。 義父が笑いながら最後はそう締めくくるのだが。 若いという理由だけで相談もなく、まるで決定事項かのように言うのはやめてくれ。丸投げするな。 そうねぇ、今も仲良くしてるもの。 一緒に暮らしても何の問題はないわね。 そして、義父の発言に喜んで同意する姑。 おいお前ら、いい加減にしろよ?!
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