2、牢獄のアンバー・フラン

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2、牢獄のアンバー・フラン

この息苦しいセカイで女として生まれたからには、完全なる自己犠牲の中で演じ続けなければならないものだと虐げられ、私は途方に暮れた。 脅迫をささめき、薫染(くんせん)に導き、気付かぬ間に縫われた笑顔と雁字搦めにされて操られる未熟な肢体。 そして予め用意された台本にある台詞を強要されるという畢生(ひっせい)。 しかしどうだ、身体と反し閉じ込められた心は。 途轍もないほど大きく育っているではないか。 もし、この糸をすべて裁ち切り。 晴れて自由の身になれるのだとしたら……。 「どれほどの素晴らしい物語が待っていることだろう」 と眠る前に空想することだけが、人形の私に与えられた唯一の自由だった。 【 可哀想な女の途方 】
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