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血と硝煙の臭いで鼻が麻痺する。
見上げる空は灰色だ。
ここにはいつだって…灰が降りつもる。
泥にまみれ、砂を噛んで。
もう、何も感じないーーー。
「ねぇ、あなたと私、同じ年頃じゃないかしら?」
聞き慣れたバリトンの声とは違う、ソプラノの心地良い声が聞こえて振り返る。
そこには…
天使が立っていた。
透けるような白い肌、キラキラと輝くブロンドのミディアムヘアーに空みたいに青い瞳…
こんな場所には似つかわしくない少女だ。
「…君は?どうしてこんな場所に?」
答える前に僕が彼女に問いかけていた。あまりの衝撃に言葉が先走ってしまったんだ。
「ふふ…質問したのは私の方なのにね。見て分からない?私もあなたと同じ…兵士よ」
( ああ…そうだよな。
彼女は軍服を着ている。
それに…手にはしっかりと銃が握らるているじゃないか )
「…ごめん。愚問だった。僕は17になるよ。名前は…シュネーだ」
( 名前…なぜ伝えてしまったんだろう…この場所では…名前なんて無意味だというのに…)
「私はアインよ。歳は14。やっぱり同じ様な年頃だったのね」
これが僕とアインとの出会いだった。僕はこの日の事を決して忘れはしないだろう。
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