汚れちまった悲しみが

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汚れちまった悲しみが

『汚れちまった悲しみに  今日も小雪の降りかかる』  中原中也は、そう歌った。  小雪は空から降り積もる。  しんしんと。深く。静かに。  悲しみはどうか?  やはり降り積もるものだろうか?  静かに。  そしてずんずんと深みを増しながら。  それは自分でも気付かないほど、ゆっくりと。かつ確実に。  積もるだけ積もりきった時に、ようやく現れるのかもしれない。  そんな自分を許す余裕が。  落ちるところまで落ちなければ、見えないものが、この世には多く存在する。
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